29年前の教訓
東日本大震災や今回の能登半島地震よりも、首都直下地震は、29年前の阪神淡路大震災に似た被害が想定される。改めて、思い起こして、風化させてはならない。
【阪神・淡路大震災の教訓(主なもの)】[中央防災会議より抜粋]
(1)予防対策
○ 死者の多くが家屋の倒壊や家具の転倒による圧迫死だった。
○ 老朽住宅が密集し、道路も狭隘な市街地において、延焼によって多くの被害が生じた。
○ 建物の被害は主として現行の建築基準法の基準を満たしていない建物(既存不適格建物)に起こった。
○ 道路橋では1980年以前に建設されたコンクリート橋脚が破壊、崩壊したほか多くの鋼製橋脚に座屈を生じた。
(2)応急対策
○ 官邸への情報連絡をはじめとして、国全体の情報連絡・初動体制が遅れをとった。
○ 大震災直後には被害の確定情報が迅速に収集できず、死者数や建物倒壊数等の被害規模の把握が困難であった。
○ 地方公共団体相互の応援協定は一部についてはあったものの、要請・ 応援のシステムが円滑に作動しなかった。
○ 道路の損壊及び車両の集中による極度の渋滞に加え、鉄道及び港湾の損壊も著しく、要員、物資等の緊急輸送に著しい支障が生じた。
○ 物資・食料の受入は、被災自治体の市役所・区役所などで行われた。保管場所・人手不足の中での物資積み卸しはたいへん混乱した。
○ 被災地の医療機能が低下するなか、迅速な対応を要する負傷者の搬送活動が必ずしも十分に行われなかった。
○ 患者搬送にあたっては最も威力を発揮するヘリコプターは、震災直後には十分活用されなかった。
○ 被災地域では、消火栓が使用不能となり、防火水槽のほか、プール、河川、ビルの水槽等の水も使われた。
○ ボランティアによるきめ細やかな諸活動の有用性が明らかになったが、受付窓口の開設や業務の振り分けなどの体制の整備、医療や建築技術、福祉など専門技術を提供する専門ボランティアの重要性が指摘された。
(3)復旧・復興対策
○ 災害弱者の生活再建や商店等の経営再建に困難が生じた。