百条委員会 意見開陳
本日、豊洲市場問題調査特別委員会(百条委員会)で、自民党を代表して意見開陳をしました。
依然として、自民党以外の全会派は偽証の認定を考えているようです。
魔女狩りの頃と何らかやっていることは変わらない。人間は醜いです。
以下、私の意見開陳、全文を添付いたします。
H27.5.24 百条委員会 意見開陳
『都議会自民党を代表して、豊洲市場移転問題に関する調査特別委員会の、これまでの審議について、意見開陳を行います。
小池知事が豊洲移転を延期し、豊洲市場への移転に関して、都民の関心が高まる中、豊洲市場移転問題特別委員会(いわゆる市特)が設置され、その審議の経過の中で、豊洲の東京ガス跡地に、市場を移転することに決まった経緯、その間の東京ガスと東京都の、交渉の経緯などについて、事実関係を明らかにするため、強力な調査権を有する本百条委員会が設置されました。本委員会は、事実関係を調査するため、これまで5日間にわたり、延べ24名、時間にして23時間に及ぶ、証人喚問を行ってきました。各証人におかれましては、それぞれ、古い記憶を思い出していただきながら、誠実な証言を行っていただいたことに、この場をお借りして、改めて感謝の意を表するものです。
最初に、3月11日には、東京都の元副知事、元市場長そして、東京ガスの現会長と社長及び役員OBの方々、総勢11名の方から、東京都が豊洲の東京ガス跡地を、築地市場の移転先に決定した経緯や、東京ガスが自社所有の土地を、市場用地として東京都に売却することに、協力するに至った経緯を確認しました。
そして、例えば、護岸対策工事費を東京ガスが、負担しないこととなったのは、開発計画の変更による結果に過ぎず、東京都が東京ガスから、豊洲を市場用地として入手するに際して、東京ガス側に対し、何かしらの不正不当な、利益が供与されたということは、なかった、ということが確認されました。
3月18日には、4名の元市場長の方々と、豊洲市場の土地購入時の、東京都財産価格審議会の会長など4名の方から、土壌汚染対策に関する確認書、費用負担に関する合意、建屋の下に盛土を行わなかった経緯、契約案件の審議状況などについて、質問させていただきました。
その中で、東京ガスの78億円土壌汚染対策費の負担については、法的に責任はないものの、企業の社会的な責任として、追加で負担したもの、であることが確認されました。
3月19日には、豊洲市場の移転交渉を、東京ガスと行った浜渦元副知事には、当時、交渉が行き詰まっていた中、どのように両者の調整を、前に進めていったのかを確認しました。
そして、あたかも、何か裏取引があるかのように言われていた、「水面下」での交渉とは、いわゆる「密約」といった類のものではなく、売買交渉にあたって事務的に、具体的な細部を詰めていく、ということを表現した言葉にすぎない、ものであったことも確認されました。
翌20日は、石原慎太郎元知事に対して、なぜ築地から豊洲に移転すると判断したのかについて、直接、確認をしました。
そして、4月4日には、それまでの証言を踏まえ、豊洲市場移転に関与した、当時の知事本局長、政策報道室理事、担当部長の3名の方から、石原知事、浜渦副知事の下で、実際にどのように、事務手続きが進められていったのかを、確認しました。
この中でも、いわゆる「2者間合意」と言われ、あたかも、密約であるかのようにレッテルを貼られた、平成13年7月の都とガスの部長級間での確認書も、それまでの担当レベルで、協議した内容を確認したものに、過ぎないということがわかりました。
また、東京ガスから提出された資料にありました、「Xデー」という表現も、この委員会でも、一部委員から、勘違い、的外れな指摘がされており、週刊誌等も、いわくありげに、報道されておりましたが、実際は、Xデーとは東京ガスが自ら汚染対策を定めて、公表する日のことを、そう呼んでいただけのことで、実は、なんら問題のない事柄であったことも、はっきりしました。
また、土壌汚染対策に関する費用負担についても、法令基準を満たす汚染土壌対策と、卸売市場用地という特別の条件を勘案した、さらなる土壌汚染対策、それぞれについて、東京ガスと東京都、双方が了解の下、取り決めがきちんと、行われていたことも明確になりました。
さらに、多岐にわたる交渉が、互いの了解の下で、円滑に進んでいくように、東京ガスと東京都、双方の部長級職員が、交わした覚書に関連して、あたかも、不正があったかのような質疑もありましたが、東京ガスと東京都、双方の当事者の証言からは、そうした事実につながる、発言を見出すことはできませんでした。つまり、証人喚問の結果、豊洲への移転を決めるにあたって、東京都と東京ガスが、交渉を進めていく過程や、東京ガス、東京都、双方における当時の検討作業において、その正当性を疑うべき事実は、なんら発見されなかったということです。
しかしながら、ガバナンスの問題、情報公開、横の連絡、縦の連絡など、今後の都政運営に、反省として活かさなければ、ならない点は多数ある、ということも指摘しておきます。
なお、今回の当委員会、全般にわたる、証人喚問に関して、一言申し上げておきます。喚問は証人から、事実を聞くために行うものであり、質問者が想定したシナリオをもとに、シナリオに都合がいい発言を、引き出すためのものではありません。
ところが、我が党以外の質問者の中には、自らが想定したシナリオに、固執した質問に、終始するとともに、時には、提出された資料の一部を、曲解し、なんの裏づけもないまま、証人喚問の場を使って自らが創作した、事実と全く異なる、ストーリーをアピールする、といった、質問者までいました。
事実関係を調査する際に、もっとも肝心なことは、予断を持たず、公平中立の立場で、提出された資料を読み、証言を聞くという謙虚な姿勢であります。この基本中の基本が、本委員会の審議において、おろそかにされてきた委員がいたことを、非常に残念に思います。さて、百条委員会では、調査が厳正に行われるよう、証人喚問において、虚偽の証言を行ったと認められた場合には、告発しなければならない、とされています。延べ24名の証人の方々は、宣誓の上、当時の記憶を思いおこして、非常に誠実に証言をされていました。
しかしながら、現在、当委員会が行った証人喚問の証人のうち、特定の証人に対し、虚偽の陳述を理由に、偽証の認定をすべきであるとの主張が、自民党を除く、他の各会派から、提出されております。
そして、「虚偽の陳述に当たると考えられる案件一覧」には、各会派が虚偽の陳述、つまり偽証に当たると考えている陳述と、その根拠と考える資料が、記載され、当委員会に提出されていますが、我々は理解に苦しんでおります。虚偽の陳述とは、事実と異なる、との認識を持ちながら、敢えて違うことを証言する、ということです。要するに、故意に嘘をつくということです。
つまり、時間の経過などによって、忘れてしまったり、勘違いのため、結果的に、事実とは異なる証言をした場合は、「虚偽の陳述」とは、ならないのです。
ある証言を「虚偽の陳述」であるとして、告発する為には、それが客観的事実と相違する証言である、というだけでは足りず、事実をわかっていたのに、故意に、記憶に反して、事実に反する発言をしたという点まで、証拠によって立証することが必要となります。したがって、虚偽の陳述を主張する、会派の中には、メモなどに矛盾する記載があることを、重視しているようですが、こうしたメモの存在だけでは、偽証告発の根拠としては、甚だ不十分と言わざるを得ないのです。
例えば、今回、浜渦証人が関わったのが、平成13年7月基本合意までであり、それから先は全く知らないとか、一切相談にも預かってもいないなどと証言されております。
この証言に対して、それ以後にも、浜渦証人に都の担当者が報告をした、かのような資料が存在することをもって、浜渦証人が、自分の記憶に反して、敢えて、事実と異なる証言をしたのだと、いうことまで証明するものではありません。
そもそも、基本合意締結後において、浜渦証人に報告をした、可能性を示す資料も、わずかに数点しか存在せず、当時、日々多くの業務に追われていた、証人が、10年以上も前のことについて、覚書の締結といった、トピックスと、なるべきことは覚えていたとしても、日々の報告事項についてまで、正確に事実を記憶していなくとも、やむを得ないと考えられるところです。
また、当委員会において行われた、今回の証人尋問においては、例えば、贈収賄などのような、他の刑事事件に発展しそうな内容や、東京ガスに対して不当な便宜供与を、図ったという内容は、皆無であり、各証人が敢えて、嘘をつかなければならない必然性は、全く見当たりません。つまり、虚偽の陳述をしなければならない、動機そのものがないのです。
このように、故意の発言であると、根拠も薄弱なまま、また、偽証する動機すらも、見つからない中で、あえて、偽証認定をしようとすることは、到底容認できませんし、パフォーマンスと言わざるを得ません。
私は法律の専門家ではありませんので、弁護士の方からもご意見を、伺う必要があると判断し、我が党の顧問弁護士の方に、「虚偽の陳述に当たると考えられる案件一覧」に、記載されている資料を、検証していただきました。
その結果、百条委員会に提出された証拠書類関係で、虚偽の事実を証言したと、認定することは困難であり、ましてや告発をしたとしても、これをもって検察が起訴に持ち込むことは、大変難しいと言わざるを得ないと考える。とのご見解でした。そして、都議会、議会局の顧問弁護士の方からも、ほぼ同様の見解が示されています。
つまり、法律の専門家の方が、今回の証人喚問の議事録、資料等を検討したところ、偽証の認定は困難で、偽証告発は困難であるというのが、共通した見解として、示されているのです。
本委員会の目的は厳正な調査であり、偽証告発は、厳正な調査を担保するための、手段に過ぎません。偽証告発は、偽証罪による刑事処分を、前提とするものですから、都議会が都民の代表として、告発する以上は、十分な根拠と法的な裏付けが必要不可欠であります。
都議会として、証人を告発して、証人を刑事被疑者の立場に、追いやるということの重大さは、ここで敢えて、指摘するまでもありません。
我々、都議会議員は、与えられた権限が、大きければ大きいほど、その誤った運用は、時には、関係する方々の、基本的人権を損なう恐れすらあることを、忘れてはなりません。けっして、政治的思惑や、単なる思い込みによって、権限を恣意的に運用し、証人の方々の基本的人権を、侵害する恐れのあることを、行ってはならないのです。
我が党は、これまで、こうした信念のもとで、委員会の審議、そして証人喚問に、臨んでまいりました。しかし、現在、我が党を除く、公明、共産、都民ファースト、東京改革、ネットの各会派は、我が党から見ても、また法律の専門家から見ても、非常に曖昧かつ、薄弱な理由で、数に物を言わせて、偽証認定を行おうとしています。
偽証認定を主張される各会派は、都議会として告発したにも関わらず、結果として、証人が不起訴処分となった場合、その責めをどのようにとる、おつもりなのか。その点についての覚悟を、十分に認識されているのか、お聞きしたい。百条委員会を立ち上げ、何も出なかったでは、格好がつかないという思いがあってのことかもしれませんが、都民の代表者である都議会が、告発する、という重みを十分に認識し、確実な証拠に基づいて、告発すべきであり、立件が見込まれないような、告発は厳に、慎むべきです。
今回の偽証認定と告発に向けた動きは、あたかも、偽証告発をもって本委員会の成果と位置づけ、百条委員会を設置したことに、一定の評価を得ようとするための告発、まさに「ためにする告発」ではないか、との疑念すら覚えます。
現在、本委員会において、偽証の認定と告発に向けた、取りまとめがなされようとしていますが、刑事告発を前提とした、偽証の認定という行為を行う以上、法的な検討を踏まえた、慎重な対応が必要です。そして、何よりも、24名に及ぶ証人の方々の真摯な証言を率直に受け止め、法律の専門家のご指摘を謙虚に受け止め、当委員会の調査に真摯に応じて頂いた、証人の方々の人権を、不当に侵害することのないよう、都議会議員として責任のある行動をとるべきです。
そこで、都議会自民党は、当委員会がまとめた「虚偽の陳述に当たると考えられる案件一覧」を検討した結果、偽証と認定される事実は、発見できなかったことを、本委員会において決定すべきであることを主張し、意見開陳を終わります。』